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カーボンニュートラル実現に向けて調達部門がやるべきこと:SRM コラム

2024年1月15日

1. カーボンニュートラルの背景と重要性

近年の世界の平均気温の上昇や、昨今の豪雨や猛暑といった多発する異常気象などは「気候危機」として、災害リスクの高まりやそれに伴う農林水産業、水資源、自然生態系、健康、産業・経済活動への影響が出ることを指摘されています。
こうした背景から、日本政府は 2050 年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロとするカーボンニュートラルを実現することを宣言しています。

日本企業においても社会や投資家からのカーボンニュートラルの要請は高まっており、取り組みが加速しております。温室効果ガス排出量の算定と報告の基準「GHG プロトコル」に則った排出量の開示は代表的な例ですが、その他にも再生可能エネルギーや省エネルギー設備の導入やカーボンプライシング、カーボンオフセット、脱炭素製品やサービスの導入など、幅広い取り組みがなされています。

これらの取り組みは企業価値の低下を防ぐだけでなく、生産効率の最適化や新市場創出・売上拡大の機会としても捉えることができます。

2.調達部門が取り組むべきこと

調達部門として取り組む活動として、以下のようなことが挙げられます。

  • 再生可能エネルギーの調達
  • 省エネルギー設備の調達
  • 脱炭素製品企画や省エネルギー化に向けたサプライヤー選定・評価

なかでも重要な活動である以下について、手法を解説いたします。

  • サプライチェーン排出量の算出

「GHG プロトコル」で定められているサプライチェーン排出量には、「Scope」という考え方があり、これら Scope1~3 を合計した排出量を事業者としてのサプライチェーン排出量と定義しています。

Scope1:事業者自らによる温室効果ガスの直接排出(燃料の燃焼、工業プロセス)
Scope2 : 他社から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出
Scope3 : Scope1、Scope2 以外の間接排出(事業者の活動に関連する他社の排出)

このうち、Scope3 は 15 のカテゴリに分類され、調達部門の範囲としては、Scope3 のカテゴリ 1(購入した製品・サービス)やカテゴリ 2(生産設備の増設)が管理対象となります。

排出量の算定には以下の計算式が利用されます。

排出量 = 活動量(購入金額) × 排出原単位(購入品目の排出量)

排出量の算出をスムーズに行うためには、品目ごとに活動量と排出原単位を常に把握しておく必要があります。弊社の統合調達ソリューション「eBuyerBrains」では品目分類ごとに年間購入金額を保持することができ、効率よく排出量の算定が行えます。

また、排出原単位は環境省のポータル等から取得できるため、比較的容易に排出量算出ができる一方で、排出原単位にサプライヤーごとの削減活動結果が反映されないというデメリットがございます。排出量の削減効果を算定していくためには可能な限り、サプライヤーからの一次データを取得する必要があります。そのためにはサプライヤーから直接データ登録できる共通の基盤を利用し、排出量の集計を行うことを推奨します。

上記でご紹介しました通り、弊社の「eBuyerBrains」は、調達部門に求められる機能を網羅している統合調達ソリューションです。調達部門の高度化をご検討の皆様は、ぜひお問い合わせください。

担当:インダストリーサービス第四事業部 大金育恵

※参考文献